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美容室開業から2年で黒字にするためにやるべきこと — 月次管理と固定費の見直し

開業後2年で黒字にするのは現実的か

美容室の開業後1年目は、ほとんどのサロンが赤字です。オープン直後は顧客がまだ定着しておらず、売上が安定しません。一方で、家賃・人件費・融資返済といった固定費は毎月かかります。

ただし、2年目に入ると状況は変わり始めます。1年間の営業で春夏秋冬を一巡し、繁忙期・閑散期のパターンが見えてきます。リピーターも少しずつ増え、月商の見通しが立つようになります。ここで「なんとなく」ではなく数字を使った経営管理に切り替えられるかどうかが、黒字化できるかの分かれ目です。

目安として、セット面3〜4面・スタッフ2〜3名の美容室であれば、月商150万〜200万円を安定して出せれば黒字ラインに乗せることは十分に可能です。

まず損益分岐点を把握する

黒字化のスタートは、自分のサロンの損益分岐点を知ることです。損益分岐点とは、売上と費用がちょうどトントンになる金額のことで、これを超えた分が利益になります。

計算式はシンプルです。

損益分岐点 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)

たとえば、毎月の固定費が90万円で、変動費率が25%だとすると、損益分岐点は120万円になります。つまり月の売上が120万円を下回ると赤字、120万円を超えると黒字です。

美容室の主な費用を固定費と変動費に分けると、以下のようになります。

費用の種類内訳の例売上に対する目安
家賃テナント賃料・共益費10〜15%
人件費給与・社会保険料40〜50%
広告費ホットペッパー掲載料・SNS広告3〜5%
材料費(変動費)カラー剤・パーマ液・シャンプーなど8〜10%
水道光熱費電気・ガス・水道3〜5%
その他通信費・消耗品・雑費3〜5%

この表を自分のサロンの実際の数字に当てはめてみてください。「うちは何円売り上げれば黒字になるのか」が見えるだけで、やるべきことの優先順位がはっきりします。

固定費を月1回見直す習慣をつける

開業時にかかった初期投資は変えられませんが、毎月の固定費は見直せます。特にチェックしたいのが以下の3つです。

  • 広告費: 集客媒体ごとの費用対効果を毎月チェックする。月5万円の掲載料で新規が2名しか来ないなら、1人あたりの獲得コストは2.5万円。リピート率が低い媒体なら、別の方法に予算を振り替えた方がいい
  • 材料費: 仕入れ先の見直し、在庫の適正化で8〜10%に収める。余った薬剤を廃棄していないか確認する
  • 人件費: スタッフの生産性(1人あたり月間売上)を把握する。目安はスタッフ1人あたり月50万〜60万円の売上

大事なのは、月に1回は試算表(損益計算書)を見る習慣をつけることです。年に1回の確定申告のときにまとめて数字を見ても、改善のタイミングを逃してしまいます。

客単価とリピート率を上げる

売上は「客数 × 客単価」で決まります。新規集客だけに頼ると広告費がかさむので、既存のお客さまの単価とリピート率を上げる方がコストは小さくて済みます。

客単価を上げるための具体的なアクションとしては、カットだけのお客さまにトリートメントやヘッドスパを提案する、カラーのグレードアップ(リタッチからフルカラーへ)を案内するなどがあります。美容室の平均客単価は6,000〜7,000円程度ですが、メニューの組み合わせを工夫すれば8,000〜9,000円に引き上げることは十分できます。

リピート率は、2回目の来店率が特に大事です。新規のお客さまが2回目に来てくれる割合が40%以下であれば、初回の接客やカウンセリングに改善の余地があるかもしれません。目標は60%以上です。次回予約をその場で取る仕組みを作ると、リピート率は上がりやすくなります。

税務面で手残りを増やす

売上を増やすだけでなく、税金や社会保険料の負担を正しくコントロールすることも手残り(実際に手元に残るお金)を増やすポイントです。

  • 青色申告特別控除: 開業届と青色申告承認申請書を出して複式簿記で記帳すれば、最大65万円の控除が受けられる(e-Taxでの申告が条件)。2025年分からは基礎控除も合計所得金額に応じて58万〜95万円に引き上げられたので、個人事業主には追い風
  • 減価償却の活用: 内装工事費や高額な美容機器は一括で経費にできないが、耐用年数に応じて毎年少しずつ経費にできる。開業1〜2年目は減価償却費が大きいため、帳簿上は赤字でも手元にはお金が残るケースがある
  • 小規模企業共済: 毎月1,000〜70,000円を積み立てると、全額が所得控除の対象になる。将来の退職金がわりになるうえ、節税にもなる

確定申告を自分でやるにしても、まずは1年目だけでも税理士に帳簿のつけ方を教わっておくと、2年目以降の数字管理がぐっと楽になります。

当事務所のサポート

「毎月の数字を見ているけれど、どこを改善すればいいか分からない」「黒字のはずなのにお金が残らない」といったご相談をよくいただきます。当事務所では、美容室の月次試算表をもとに、損益分岐点の計算・固定費の見直し・資金繰り表の作成までサポートしています。開業2年目に入って経理を整えたい方、確定申告だけでなく毎月の経営管理も相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

小松 啓

小松 啓

公認会計士・税理士

大分県出身。監査法人・コンサルティング会社を経て独立。休日はフィルムカメラを持って街を歩き、東京の風景や環境音を記録しています。「数字の仕事」と「手を動かしてつくること」の両方が好きな会計士です。美容師の方が施術に集中できるよう、面倒な税務は全部引き受けます。

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